うんこ漢字ドリルとはなんだったのか?潜在する 3つの影響:社会、教育、医療
みなさん、うんこ漢字ドリルを覚えていますか?
汚い話ではありません。
昨年一世を風靡した、小学生向けの漢字学習教材です。
あー、おもしろかったなあ、あれ。
で終わっていませんか?
今日は、うんこ漢字ドリルが社会に与えた、あるいは与えるかもしれない潜在的な影響を考察してみました。
目次
うんこ漢字ドリルとは
『うんこ漢字ドリル』は2017年3月に、文響社より発売された小学生向けの漢字ドリルです。一部大人の中でもブームとなりました。
小学生が学習に使用できる問題集ですが、通常の漢字ドリルと異なる点が1つ。
すべての例文にうんこが登場するのです。
例えば、以下のような具合で。
- 【だんし】は 一日中 うんこの 話を して います。
- 「うんこぶりぶり事けん」が起きたのは、【しょう】和二十八年のことだ。
- うんことは、内【ぞう】が作った芸術品である
シリーズ累計の発行部数はすでに330万部を超え、少子化のこの時代に爆発的なヒット作品となりました。2017年には流行語大賞ノミネート、グッドデザイン賞金賞を受賞しています。
ブームが起きた理由
現在、日本は少子高齢化がすすみ、そもそも子供の数が減っています。
さらに、学習意識の高い家庭の子供は学習塾に通い、教材を自分で本屋さんで購入する機会は昔とくらべて大きく減っています。
そんな状況下で、うんこドリルが空前のヒットを巻き起こしたのには理由があります。
それは古来より、「うんこ」をいうワードに対して子供たち(特に小学生)が異常に興奮し、テンションを高めるからでした。
リーぱぱの小学生時代を思い出すと、確かに「うんこ」や「おしっこ」という下品なワードでげらげら笑っていた記憶があります。(ただし、その後まわりの大人に怒られますが)
文響社はそういった小学生特有の性質に着目し、競合の漢字ドリルを押しのけ、一躍大ヒット製品を世に送りだしたのです。
たしかに、どうせ漢字ドリルを買うなら、退屈な普通のドリルではなく「うんこ漢字ドリル」を選ぶかもしれません(収載漢字が同じなら)。
【社会への影響】うんこ漢字ドリルの裏でおきていたこと
好調な業績を上げた「文響社」でしたが,そのブラック企業ぶりが報道されました。
社長のパワハラ(社員に対する叱責、罵倒)、月100時間以上の残業などが常態化していたようです。
近年、ブラック企業に対する社会の目は厳しく、ネット上では「うんこドリルの社長がうんこだったか」といったコメントも上がっています。
うんこドリルという、自由で新しい発想が生んだ商品ですが、その裏では想像と異なる、残念な実態があったのです。
意図せず、社会問題ともなっているブラック企業問題に焦点が当たったのです。
うんこ漢字ドリルによって。
【教育への影響】小学生の学力への影響は:懸念の声も
うんこに敏感な小学生の心をつかんだ漢字ドリルですが、一部の専門家や親から、以下のような懸念の声が上がっています。
- うんこドリルを通して、漢字の記憶はできるでしょう。しかし小学生は、もっと品の良い文章に触れる機会を増やす時期でもある。
- 学校でうんこができない子供がいるほど、排泄行為は、いじめの標的にもなる。児童がいじめの材料として使いかねない
- 品性のない大人に育ってしまわないか心配です。
- 本来「楽しくない」勉強に向かうことによる成長が期待できない。
【医療への影響】うんこの社会的地位は変わるのか
とはいえ、うんこドリルによって、机に向かう子供が増えたことも事実でしょう(すくなくとも飽きるまでは)。
しかしここで1点、言っておきたいことがあります。
本来「うんこ」は下品なもの、嘲笑の対象であるべきではありません。
医学的には、便や尿は身体の健康状態を推し量る重要な検査対象となります。
それにも関わらず、「血尿がでている」「便に潜血がある」といった話を、汚い話だと遮断する人もいます(小学生ならげらげら笑うでしょう)。
個人的には、このうんこドリルがきっかけとなって「うんこ」の社会的地位、(特に医療分野における)社会的受容度が改善することを願います。
では